義弟と義妹に手紙を書きました
僕の奥さんの兄弟が結構歳が離れておりまして、10年下の高校生の妹と、12年下の中学生の弟がいます。
義弟と義妹に毎年お年玉を渡すのが恒例行事なのですが、今年はテイストを変えて僕より一回り年下の子たちに伝えたいことを手紙にしました。
以下、手紙の内容。
一部内容伏せています。
~手紙~
昨年の流行り言葉で「エモい」という言葉とその意味を知っていますか?
僕よりも若い人たちの間で生まれた言葉なので、もしかしたら日常的に使いこなしているのかもしれませんね。
もし知らなかった時のためにかんたんに説明すると、自分の感情がプラス方向でもマイナス方向でも動いた時、うまく言葉にできない感動やもの悲しいの感情を表すために使用されているようです。
僕たちの世代では周りにこの言葉を使う人がいないので、僕なりに勉強した解釈ですが。
僕はこの言葉が好きですし、この言葉が若い人たちから生まれたことが素晴らしいことだと思いました。
一緒にお渡しした本「君たちはどう生きるか」の中でもおじさんがコペルくんに対して、
「君が心動かされたことを忘れてはいけないよ」と言っていますが、
これは「君がエモいと感じたことは忘れるなよ」ということです。
昨今、AI(人工知能)が産業革命を起こして人間の仕事がなくなる!とかそういうニュースや話題で社会は持ち切りです。
しかしながら、僕はAIにはエモいと感じる感性(センサー)がないのだから、
人間らしい感性を必要とする仕事は決してなくならないだろうと思っています。
だからといって、芸術的な仕事をした方がいいよということを伝えたいわけではありません。
何を伝えたいかというと、エモいと感じられることは人間の特権です。
この感性こそ人間の武器だと思っています。
エモいと感じる経験が多いほど感性は育つと僕は考えています。
少し話題を変えて僕の弟の話ですが、歳は僕の2つ下で昔からあまり賢いタイプではありませんでした。
弟は某国立大学から某国立大学院に進学し、現在は大手外資電機メーカーの研究所で研究者として働いています。
高校生の時に、科学雑誌ネイチャーを読んで、「僕もノーベル賞を取りたい!」と思い立ち、その日からひたすら勉強尽くしの日々を送っていました。
この話をするとよく「真面目で才能があった弟さんなんですね」なんて言われますが僕は全くそう思いません。
弟は他の人たちよりも少しラッキーだっただけと僕は思っています。
何がラッキーだったかというと、彼は高校生の時に、科学雑誌を読んで「これはエモい!」と情熱を注げるものに出会えただけの話なのです。
そこから先の勉強尽くしの日々は「ただやりたいことをしていただけ」に過ぎません。
ただ、情熱を注げるものを見つけるというのは本当に難しいことです。
僕は高校生の時はパイロットになりたいという夢があり、航空学校を目指そうと思いましたが学費が高すぎるなどの理由から断念。そこから航空自衛隊のパイロットを目指そうと思って、毎日3時に起きて6時までトレーニングをするような生活を送っていました。(視力の問題で結局パイロットは諦めてしまうのですが)
この時の僕もまた、「ただやりたいことをしていただけ」だったのです。
繰り返しになりますが、情熱を注げるものを見つけるというのは、本当に難しいことです。
一生のうちにそれに出会わず、出会ってもそれに気付かずに死んでしまう人も多くいると思います。
本当はそれほどやりたくないことだけれど、「これは自分にとって夢中になれることなんだ!」と自分で自分を騙している人も世の中にはたくさんいます。
そんな世の中で、もし運よく情熱を注げるものに出会えたら、それを見逃さない感性を大切にして欲しいと思います。
エモい経験をたくさんして、自分の感性を育てていってもらえればと思います。
お年玉は貯金することも大切ですが、是非とも無駄遣いしてもらいたいと思っています。
他人のお金なので自分のお金のように大切にしないで、他人のお金じゃないとやらないようなことをしてみるのも面白いと思います。
僕は昔、他人からもらったお金でUFOキャッチャーをやったり、スクラッチの宝くじを買ったりしたことがあります。自分の大切なお金はそんな使い方はしないのに。
そこから学んだこともあります。
「ああ、宝くじって全然当たらなくてむなしいなー」とか、
「UFOキャッチャーって2000円以上入れないと絶対取れないんだなー」とか、「マクドナルドのフライドポテトはすごくおいしいけどLサイズ3個は食べるのが嫌になるなー」とか。
そういった無駄遣いの経験は楽しいし、学べることも多いので是非トライしてみてください!知識では知っていてもやってみないと分からないことはたくさんありますよ。
~手紙~
こういう試みは初めてで、正直とても怖かったのですが、
奥さん方のご家族からはご評価いただき、やってよかったなと思いました。
手紙で書いたことは本当に簡単なことなので、多分理解してもらえるんじゃないかなと思います。
一回り年下の彼らの世代が社会に出て、二回り年下になるであろう僕の子供たちの世代を育てていってくれるという期待から、なるべくやれることはやってあげようと思っている次第です。