人事について
「失敗の本質」にある一文で、「人事評価は組織へのメッセージ」とあり、とても私には刺さったわけです。
古典のリーダーシップ論なんかを見ても、人材登用・人事評価がうまく出来た組織は繁栄するといったニュアンスのことが書いてあります。
アンドリュー・カーネギーもそんな感じのことをお墓に書いてあったと記憶しています。
それくらい、組織作りと人事評価は密接に関わっているわけですが、自分の組織ではどういう人事をして、そのことを組織全体にどう浸透させればいいのかと考えています。
以前、お客様との雑談の中で、
「どうしてオリンピックはあんなにぐだぐだなんだろう?東大を卒業したエリート集団のやることとは思えない」と言われ、
私の回答は
「たぶん、人事評価がそういう仕組ではないんじゃないですか?人事評価と国益がリンクしてない仕組みなんじゃないかと思います」なんて話して、えらく納得していただいたことを思い出します。
この話を後から振り返って、我ながら、その通りと痛感するわけです。
良い人材を殺すのもまた、人事評価の仕組みだと思うのです。
人事権を握ることは最高の権力であると思います。人事権を掌握して、「さあ、出世したきゃ俺に媚びろ」というメッセージを発信する組織ではうまくいかないと思うのです。
これもまた、お客様の小売企業の会長の話なんですが、
この企業は会長が商品開発をしており、上代価格は各支店の店長たちが、店長会議の席で商品を見て、いくらで売りたいかをそれぞれ表明し、その中央値を売価として設定するといった方式を取っています。売価が確定するまで、店長たちに原価は伏せられています。
価格決定をこういった方式で決める企業も珍しいと思いますが、私が感銘を受けたのは会長の姿勢です。
店長会議に、会長は出席せず、店長会議での価格決定は絶対とし、最高権力者の会長とはいえ、決して口を出さないというのです。
「店長たちは小売のプロだから、その意見を尊重する。一度でも俺が口を出したら、忖度し始めて、純然な値付けが出来なくなる。
安く値付けされた時は腹が立つが、絶対に口に出さず、次の商品開発で見返してやるとバネにしている」とのこと。
最高権力者が、自身の影響力の大きさをよく理解されていると大変感銘を受けました。
権力も人も生かす殺すは、使い方と考えさせられます。