コンビニのエロ本
コンビニのエロ本というのは大抵トイレ付近にあったりするもので、
男性であればトイレに行く途中、ちらって目をやってしまうことが多いのです。
まじまじと見ることができないからこそ、そのイメージは強烈に残ります。
そしてイメージがあっているか確認する為に、トイレを出た後にまたちらっと目をやるのです。
コンビニのエロ本の良いところは、異物感にあると思います。
公然の場にアダルトな表紙が並んでいるという異物感。
そして、まじまじと眺めることができないからこそ。一瞬しか見ることが許されないからこそ。魅力を感じてしまうのではないかなと思います。
手に入れてしまってゆっくり思う存分眺められるようになってしまうと、何ら価値のないものになってしまうのでしょう。
例えば、クリスマスで最高に楽しいタイミングは12月23日だと思うのです。
明日、クリスマスイブがやってくる!この直前が一番楽しい時間です。
明日がどんな素晴らしいクリスマスイブの一日になり、明後日の朝はどんなプレゼントが届くのか。この不確実な時間が最も楽しい時間です。
不確実性が人間は大好きなんだなーと思います。
ガチャもパチンコもギャンブルも。
愛の告白すら不確実性です。
彼女になってくれるのか、くれないのか。
ギリギリの局面が一番楽しい時間だなと思います。
童貞というのはセックスを神のように信仰するものです。
いつか神のもとへいきたいと願うかの如く、セックスを夢見るのです。
これはかつて童貞だった私がいうので間違いありません。
しかし、いざ本番を迎え、終えてみると、神ではなくなっています。
過剰な幻想だったと知るわけです。
がっかりしたということではありません。妄想が過ぎたということです。
「世の中には知らない方がいいこともある」
なんて言葉があります。
これは大抵、悪い事実に使われる言葉ですが、
知ることは魅力を失うのに近いことだと思うと、好きなものほど一定の距離を取った方が良いのかもしれません。
今まで不確実だったものが確実になる。
不確実性が大好きな人間は、いつの間にか楽しくない方へと歩いてきていたんだなと、クリスマスの朝に気付くのでした。
どうしても欲しくて、必死の思いで手に入れた。その瞬間から少しずつ日常に溶け始め、いつの間にか消えているものです。
映画のラストシーンはふわっと終わるものが好きという人も多いでしょう。
私も好きです。
これについて、先日友人とも会話したのですが、
議論の余地を残してくれているのは、とても有難いことだと思います。
私たちはその不確実性を、映画を見終わった後も味わい続けられる幸福な観客で居続けられるのですから。